ΖΖガンダムってこんな話。ザックリあらすじをまとめてみました。
アニメじゃない!ってどういう意味?
『機動戦士Ζガンダム』からそのままスライドするように放映が開始したのが『ΖΖガンダム』だ。
ちなみに良く間違われるが作品のタイトルは『機動戦士ガンダムΖΖ』が正解なので注意しましょう。
あまりにもシリアスで暗く、政治色も強かった『Ζガンダム』から一転、オープニング曲からしてアニメじゃないと絶叫して始まった本作は、当時の全ガンダムファンは大困惑しましたね。
主役メカ交代は物語中盤で、というセオリー通りに当初はΖガンダムが主役機となる。
宇宙世紀を歴史ものとして作ってしまったゆえに生じた設定の複雑化は『ΖΖ』でも受け継がれており、前作『Ζガンダム』を踏まえておかなければ何が起きているのか理解しにくいところがある。
ということで簡単に物語の背景を説明しよう。
- ティターンズとエゥーゴの内戦(グリプス戦役と呼ぶ)はアクシズ勢力の参戦によって混乱したが、エゥーゴの辛勝で終わった。
- アクシズ(ジオン公国の残党)はほぼ無傷で残っており、対するエゥーゴは戦力も組織もボロボロ。地球連邦軍は分裂状態にあり、組織的な抵抗はほぼ不可能だった。
- アクシズはネオ・ジオンを名乗り、地球連邦政府に対して高圧的な態度を見せる。
というのが事前に知っておくべき基礎知識だ。
要するに『Ζガンダム』は途中で終わっている話であり、物語としては完結していても歴史の流れとしてみると連続した戦乱の前半だけを描いた作品ということになる。
その後半戦が『ガンダムΖΖ』で描かれる第一次ネオ・ジオン抗争、あるいはハマーン戦争と呼ばれる戦いなのである。
ネオ・ジオンの摂政ハマーン・カーン。世に言う「ハマーン様」はこの作品で定着した。
さて、ΖΖのストーリーをざっくり説明してみよう。
激しい内ゲバで地球連邦軍が消耗したスキを突いたネオ・ジオンが、調子こいてコロニー落としをしたり地球連邦政府を掌握したりしてみたけど、部下が反乱したりエゥーゴの一部隊(かなり強力)に組織のトップを狙われた結果、簡単に瓦解しちゃったというお話である。
ネオ・ジオンはザビ家の生き残りであるミネバ・ザビを総帥として摂政のハマーン・カーンが実権を握る政治体制を構築していた。
つまり頭を潰せば瓦解する脆弱な組織であり、そこを突かれて敗北したというわけだ。
これを前作の反省からか「可能な限り明るくおちゃらけた雰囲気」で描いたため、戦いそのものが軽薄な印象となってしまい、アニメ作品としても世界観に没入しにくい。
主人公のジュドー・アーシタをはじめとする新世代の少年少女たちは常に身勝手で、自分の都合を優先して動くから話が取っ散らかって進行しない。
バカな行動をして後悔するを繰り返すため、中盤での息切れ感は尋常ではない。
だが、宇宙世紀の歴史上では、この時期の戦乱は非常に重要なのである。
ジュドーがガンダムに乗ったきっかけは、盗み出して転売しようとしたため。
まず、ごく一時的にせよ地球連邦政府がハマーンに掌握されてしまったという点。
現在のところここまで地球連邦政府を追い詰めた敵対組織はいない。
シャアのネオ・ジオンはもっと小規模だったし、ザンスカール帝国ですらここまで政治的に浸透はしていない。
そして、エゥーゴという組織の本来の目的がドサクサの中で失われたこと。
当初は反地球連邦組織として地球至上主義を排除し、宇宙移民にも平等な政治を目指していたはずなのだが、シャア・アズナブルの失踪によってただの軍閥と化してしまう。
その挙句にアナハイム・エレクトロニクス社に骨抜きにされ、『ΖΖ』ではネオ・ジオンに対抗するための実戦部隊に成り下がっている。
実際、物語後半でブライトは戦線を離脱してロンド・ベル隊の設立のために別行動をしており、ネェル・アーガマと少年たちは放置されたに等しい。
そして最後に、シャアが地球寒冷化作戦を思い付いたきっかけになった点。
生き延びるためにハマーンに媚びへつらい、特権維持のためなら主権も理念も売り渡す連邦政府高官を見たシャアは、彼らを排除しなければ地球圏の真の平和は訪れないと思い至った。
地球連邦政府の事なかれ主義と弱体化はこのときから始まっており、後世に起きるコロニー国家の乱立につながっていく。
つまり、宇宙世紀0100年以降の物語につながる契機となったのがこの時代の戦乱なのであり、『ΖΖ』を観ていないとイマイチ納得できなくなるのだ。
変形・合体ギミックが復活したΖΖガンダム。ビームライフルの先っぽにコックピットがあるなど、かなり無理な構造をしている。
ちなみに、一般的に『ΖΖ』の評価は低めのようだが、キャラクターの造形はとても魅力的なものが多い。
主人公のジュドー・アーシタと妹のリィナはもちろん、仲間の少年少女たち。敵であるはずのネオ・ジオン将兵もコミカルで個性的な人物が多い。
特に人気が高いのがルー・ルカとグレミー・トト、エルピー・プルだろうか。
ハマーンに忠実なあまり悲劇的な運命を迎えるマシュマー・セロも魅力的だし、彼に翻弄されるゴットン・ゴーも捨てがたい。
とくにプルのクローン人間であるプルシリーズ(のひとり)は後の『機動戦士ガンダムUC』にも登場するため、そのオリジナルの物語を知っておくのも重要だろう。
グレミー・トトはギレン・ザビのクローンという説もあり、その出自には謎が多い。
最後になったが、本作は序盤から中盤にかけての明るいおバカな雰囲気から一転、終盤にかけては暗く重苦しいエピソードが満載になっていく。
これは富野監督作品のセオリーのようなもので、終盤に至る過程でキャラクターがバンバン死んでいくので、その落差すらも楽しめるように覚悟しておこう!