逆襲のシャアってこんな話。ざっくりあらすじをまとめてみました。
建造中のν(ニュー)ガンダム。ガムテで貼ってるあたりがリアルだ。
アムロとシャア、因縁の対決
宇宙世紀の「ガンダム」における二大巨頭といえばアムロ・レイとシャア・アズナブルであることは異論の余地もない事実である。
シリーズ全般を通して見てもこれほどキャラの立った人物はいないし、彼らが対立する物語構造こそがガンダムであるとも言えるほど、この二人は重要な存在なのだ。
『逆襲のシャア』はこの二人の因縁がついに決着するエピソードである。
敵として出会い、戦いに疲れて共闘し、結局は再び対立したアムロとシャア。
ガンダムでは初めてとなる劇場用の完全オリジナルエピソードのため、富野由悠季総監督がやりたいことを2時間に詰め込めるだけ詰め込んだような内容となっている。
簡単に言うとシャアが吹っ切れたという話
乱暴すぎる言い方をすればこの映画は、シャアが紆余曲折あった結果、自分の立場とか生まれとかやってきたことの成果とかを受け入れてネオ・ジオンの総帥になった話だ。
ネオ・ジオンというのは言わば極左政党のようなもので、宇宙移民の理想のために立ち上がる義務があるということでもある。
シャアはそれがやりたくなくてエゥーゴに逃げたのだが、当のエゥーゴが地球連邦軍に取り込まれてしまったので行き場を失った(機動戦士Ζガンダム)のだ。
だからシャアはようやく吹っ切れて、道化を演じてみせる決意をした。
そんなに言うならやっちゃうよ、しかもどうせやるなら人類史に残るほどの悪人になってやろうと。
自分が罪を背負って、人類の未来のために誰もやれない悪行をやってやるというのだ。
オールバックのシャア総帥は本当にカッコイイ。
シャアがやったこと、やろうとしたこと
ではシャアは具体的に何をやったのか。
- その1:地球連邦政府の本部に隕石を落として潰す(チベット周辺壊滅)
- その2:連邦政府を騙してアクシズ買い取る(アデナウアーとの密談)
- その3:武装解除するって嘘ついてルナツー駐留艦隊殲滅
- その4:ついでだからアムロとの因縁も決着させる(ロンド・ベルとの戦闘)
- その5:騙し取ったアクシズを地球に落として人類全滅させよう(シャアの反乱)
ということで、一言でまとめると超デケエ隕石を地球に落として、恐竜が絶滅したときのように人類を全滅させてしまおうと。 全滅といってもスペース・コロニーに移民した人々が残っているから大丈夫というわけである。
宇宙移民にとっての悲願は地球連邦政府の圧政からの独立だから、その元凶である地球に住み続ける特権階級の人々を皆殺しにしちゃうというわけだ。
地球連邦政府には「いやーもうネオ・ジオン軍なんて流行らないんで解散しますよ〜エヘ♡」という口当たりのいいことを言ってたぶらかし、ネオ・ジオン艦隊の武装解除まで約束をしてアクシズを購入する。
このアクシズという小惑星は地球を寒冷化するのにちょうどいい大きさで、しかもシャアにとっては敗戦後に辛酸をなめた苦い思い出しかない場所である。
過去を清算し、ジオンの亡霊とともに自分を苦しめ続ける地球に居続ける人々を抹殺できるのだから、シャアにとっては一石二鳥というわけである。
だから、シャアはぐずぐずを吹っ切って、この地球寒冷化作戦に全精力を傾けているのだ。
ここで「粛清」であるとハッキリ言っており、シャアの本気度がわかる。
アムロは主人公だが主役ではない。
さて一方のアムロ・レイはと言えば、これがもうすっかり大人である。
シャアがいつまでも拗らせぎみなのに対し、アムロは多少問題を抱えながらもきちんとした大人になろうとしている。
これは推測にすぎないが、ブライト・ノアの存在が大きいと思う。
横でブライトとミライ・ヤシマが結婚をして、家庭を築いていることが大きく影響したのだろう。
ベルトーチカと別れてチェーン・アギとかいう女を選んだのは少し残念だが、確かに家庭的ではなさそうなベルトーチカよりは現実的な選択かもしれない。
アムロはかつてのように引きこもりがちな暗い少年ではなく、社交的で組織内での地位もあるちゃんとした大人になっている。
組織の中堅として後輩を引っ張っていけるだけの度量もあるし、上司からの信頼も厚い。
ああ、アムロって優秀な人材だよなとつくづく思う。
上司から欲しがられるタイプの人材で、こういう青年がいたら安心して仕事を任せられるのに~と思わせるタイプ……要するにモテる男なのだ。
職場でアムロとイチャイチャするチェーン・アギ。この無遠慮さがイイ。
アムロ・レイは本当にイイ男
若い頃にこの作品を観たとき、アムロはつまらない大人になったなと思った。
シャアは相も変わらず赤いモビルスーツ(MS)に乗って美女をはべらせて少女をこき使っているのに、アムロは小ぢんまりとまとまったように見えた。
しかしブライトよりも年上になって四十路も過ぎる頃になると、このアムロの優秀さがとてもまぶしい。
かつてカツ・コバヤシが言ったように「アムロさんはヒーローなんです」がリアルに感じられるイイ男、それがアムロ・レイである。
エゴだよそれは! セリフからも大人の常識が伺えるアムロ・レイ。
何度でも観るべき名作
物語は、地球を寒冷化させようとするシャア率いるネオ・ジオン軍と、それを阻止しようとする地球連邦軍のロンド・ベル隊の戦いが描かれる。
こう書くと単純なのだが、映画ではいろいろな説明を省いて進行するため超速展開に見えることだろう。
要するに、よくわからない映画に分類されると思う。
だが、だからこの映画は何度でも観ることができる。
観るたびに、いつも新しい発見がある。
年末は逆襲のシャアを観て年越しするのが慣例になるほど繰り返し観れるし、何度でも観るべき作品なのである。
これはもう古典芸能の世界と言っていい。
RX-93 νガンダム
MSN-04 サザビー
シャアの補佐役、ナナイ・ミゲル。
逆シャアのこういう演出は、いちいちエロいなと思う。