「ガンダム」はどれから観るべきか
ガンダムは感情移入しやすい物語だ。
だから観る人の経験や感性が重要になってくるため、必然的に作品ごとに視聴適正年齢というものがある。
もちろん、いつ誰が観ても楽しめるのがガンダムというアニメ作品なのだが、適正年齢を参考にして観賞した方がより感情移入できると思う。
それはつまり自分にとって思い入れのある「ガンダム」になるという意味もあるわけで、作品視聴順は存外重要なファクターとも言える。
しかしこれはあくまでも個人的な意見によるオススメ順であって、別にそれと違った見方をしたってかまわない。
要はアナタが楽しめればいいのだから。
■10代から20代前半のアナタが最初に観るべきガンダムはコレだ!
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機動戦士ガンダムSEED
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機動戦士ガンダム00[ダブルオー]
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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
思春期の抜け切らないこの年齢の皆さんにオススメするのはこの3作品になる。
どれも宇宙世紀が舞台ではない、いわゆるアナザー系のガンダム作品だが、最初の入口としてはこれらの作品を強く推薦する。
大きな理由は3つある。
- 作画のテイストが新しいこと
- 物語の背景が複雑すぎないこと
- シリーズが短く完結していること
作画のテイストが今風であることは結構重要で、絵の感じが古いから自分の趣味と合わないということはよくある話だ。
先述したように「ガンダム」の視聴には感情移入が重要なので、絵柄の好みでそれが阻害されるのは大きなデメリットになる。
ガンダムSEEDはとにかく曲がイイ!
物語の背景が複雑すぎないというのは、要するに宇宙世紀という設定が非常に入り組んでいて理解するのに時間がかかるということだ。
宇宙世紀年表はすでに歴史の勉強に匹敵するほどの知識量が必要で、それらを順序立てて理解するには相応の時間が必要だし、関連する作品を全部観てからでないと迂闊に発言しようものなら原理主義者のオジサンたちからフルボッコにされてしまうのがオチである。だから、宇宙世紀ほどの広がりを持っていないこれらの作品から始めるくらいでちょうどいい。
これは作品世界が狭いという意味ではなく、無駄に広がり過ぎていないため理解しやすいという程度の意味だ。
とりわけ『機動戦士ガンダム00』はSF作品としても優れており、短いシリーズながら完璧な終わり方をしているのでスッキリ観れる。
シリーズが短く完結しているということは、それだけ気軽に視聴できるということでもある。
某銀河英雄伝説のように全100話を超える超大作となると、それを観終わる頃には季節が変わっていることすらある。
それでもガンダム作品の多くはTVシリーズのため、多くて50話、少ないものでも30話程度は覚悟しなくてはならない。
昨今のアニメが12話から26話なのに比べるとかなり長く、これを見始めるのはハードルが高く感じるだろう。
特に若年層の諸君は短いスパンで楽しむ娯楽に慣れ親しんでいる世代だから、いつまでも終わらないアニメに付き合うのは厳しいと思う。
だが『ガンダムSEED』こそ連続した物語だが、以降の作品では2クール(約26話)ごとに区切りがあるため一息つきやすい。
また、前半と後半の間で劇中の時間が数年経過している作品もあり、キャラクターたちが成長していく姿を見ることもできる。
当然、メカも大幅にパワーアップする。
ストーリーに大きな区切りのある構造を持つ「ガンダム作品」の方が確実に観やすいので、長い話数のアニメ作品に慣れていない人にもオススメできる。
■20代後半から30代のアナタが最初に観るべきガンダムはコレだ!
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機動戦士ガンダム00[ダブルオー]
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劇場版 機動戦士ガンダム3部作
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機動戦士ガンダム サンダーボルト DecemberSky
20代も後半になると、ほとんどの人が社会人経験のある大人ということになるだろう。
学生と違って社会に出ると大きく違うのが、「責任感」に対する他者からの要求である。
つまりは上司や同僚や後輩から「責任」を求められ続けるということで、そうした環境にさらされ続けると娯楽に対する感覚も変化してくるものだ。
受動的な主人公にイライラしたり、バカな行動をとるキャラクターを嫌悪するのは10代と変わらないのだが、イラつくポイントが若い頃とは違う。
物語の中のキャラクターそのものにイラつくのではなく、なぜそうするのかという演出意図にイラつき始めるのだ。
だから、若年層向けの安易な内容の作品では満足できない。
この年代になるとあれほど熱中していたTVゲームに飽きてくるのも同様の理由からで、自分のやっていることが「作業」に感じてしまうと娯楽にはなり得ないからだ。
生半可な作品では満足できなくなるからこそ、オススメしたいのが上記の3作品だ。
その理由はざっくりあらすじ解説を読んでいただくとして、簡単に言うと「大人の視点で観ても遜色ない娯楽作品」だということと、「予備知識がなくても理解できる内容」だというこの2点に尽きる。若年層にオススメした『ガンダム00』が入っているのは、そうした条件を満たしつつも大人の観賞に耐えるだけの重厚なSF作品であり、なおかつガンダムとしての魅力を兼ね備えている稀有な作品だからだ。
TVシリーズが50話+劇場作品が1本とそれなりに長いのだが、視聴者を飽きさせずに惹きつけるだけの魅力が確かにある。
サンダーボルトは描写もストーリー展開も、とにかく容赦がなくシビアだ
■40代以上のアナタが最初に観るべきガンダムはコレだ!
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劇場版 機動戦士ガンダム3部作
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機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
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機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
よう御同輩。
この年齢までガンダムを観たことがないと言うのも珍しいと思うが、確かにそういう層は存在する。
世の中にはスターウォーズすら未見の人もいるのだから。
さておき、40代以上となるともう完全に大人だろうし、精神的肉体的にも疲労が蓄積していて娯楽に対する意欲もかなり減退しているのではないだろうか。この歳になると複雑な設定や難解なストーリーを逆に避ける傾向があり、単純明快なストーリーとかヒロインの女の子が可愛いとかオッパイが大きいとかそういう部分しか観ていないことも多い。
さらに涙もろくなり、キャラクターや物語への感情移入の度合いが深くなるのも特徴だろう。
これは経験値の蓄積によるもので、世代云々の問題ではない。
誰しも年齢を重ねればそうなるし、そうでない人は人生経験が足りていないということだ。
だからこそ、この年代にオススメするのはストレートでエモーショナルな作品が多くなる、下手な小細工は無用、多少設定がわからなくても話の大筋に関係なければ問題ナシという基準で選出した。
成熟した大人だからこそわかる人間関係の機微を楽しんでほしい。
ガキが主役のガンダムなんて…と思っていたアナタ、今ポケ戦を見たら号泣必至ですよ