『逆襲のシャア』は展開がスピーディすぎて途中の戦略がよくわからないまま進行してしまうシーンがある。

シャアが和平条約を締結し、武装解除に至るまでの重要なシーンがそれだ。

小惑星ルナツーに全艦隊を派遣し、そこで武装解除の予定だったが、シャアは艦隊の半分をダミーに置き換えた。

いわば戦力を二分しているわけで、片方はルナツー駐留艦隊の殲滅、もう片方はアクシズの防衛隊を撃破するのが目的だった。

ひとつずつ攻略すればいいじゃんとも思うが、武装解除でロンド・ベルを油断させておいて、アクシズとルナツーの両方を同時に攻略することが重要だった。

つまり、時間差をなくすことでロンド・ベル本隊の介入を防ぐことがシャアの作戦の真意だったわけで、アムロやブライトは出遅れてしまった。

その結果、ルナツーに貯蔵されていた核兵器を奪われ、さらにアクシズも奪取されてしまい、シャアの目的が本当に地球寒冷化にあったことを知るのである。

シャアの戦力に対抗するため、会計監査局のカムラン・ブルームはロンド・ベル隊に核ミサイルを横流しするのだが、これは劇中でも語られるように完全なる越権行為であり、違法行為でもある。

この時代、核兵器は南極条約によって使用が禁止され、製造も保管も管理されているのだ。

カムランがシャアの反乱後にどうなったのかは定かではないが、勝ち戦にケチを付けるのも無意味だからどこかの僻地に左遷されただけで済んだと思いたい。