ギュネイ・ガスがクェスに言った「大佐はロリコンなんだぞ!」というセリフのせいで、シャアといえばロリコンという俗説ができてしまったのだが、実際に作品を通して観ればわかるとおり、シャアはロリコンとは言い難い。

確かにララァ・スンとの間には明らかに大人の関係があったようだが、ララァの年齢がはっきりしない上にシャア自身も20歳と若いのだから、仮にララァを16歳と仮定しても4歳しか違わない。

シャア自身「私の母になってくれるかもしれなかった女性」と言っているとおり、どちらかと言うならマザコンの方が正しいのではないか。

女性遍歴を見ても『Ζガンダム』ではレコア・ロンド(自立した大人の女性そのものという感じ)、『逆襲のシャア』ではナナイ・ミゲル(公私ともに優秀で、シャアを受け入れる包容力のある成熟した女性)というように割と大人の女性が好みのようだし、むしろ母性が強いタイプを選んでいるとも受け取れる。

だからこそ、父親を求めるクェスを疎ましく感じたシャアは、かつてハマーン・カーンにしたのと同じ仕打ちを繰り返す。

才能ある少女に残酷な仕打ちをするシャアという男が、正直ロリコンだとは到底思えないのだが……。

どちらかと言うと才能のある少女を見抜く力がある男、そして躊躇なくそれを道具として使える男というのが正しいように思う。