機動戦士ガンダム0083 スターダストメモリー ってこんな話。ザックリあらすじをまとめてみました。
敵も味方もガンダム。戦闘シーンが目白押し!
OVAブームがすっかり定着した90年代、『機動戦士ガンダム0080ポケットの中の戦争』での成功を経て、宇宙世紀の穴を埋めるスピンオフ作品の継続が発表されました。
アニメ作品の発表の場として、レンタルビデオやレーザーディスクの販売が大きなウェイトを占め始めていた時代です。
そのムーブメントはDVDの普及でさらに拡大していくわけですね。
さて、人間ドラマにフォーカスした『0080』とは異なり、今回は物語の冒頭から試作ガンダムの強奪と追撃、そしてジオン残党軍との死闘という戦闘シーンのオンパレード!
モビルスーツ好きにとってはたまらない内容となり、ガンプラも含めて商業的な成功を収めた作品となりました。
後にエピソードを編集した劇場版も制作されたので、時間がない人はそちらを観るのもいいかもしれませんね。
冒頭、いきなり試作ガンダムが強奪される。ジムのバリエーション機の活躍など量産機ファンにはたまらない描写の連続だ。
物語は一年戦争終結から3年後、宇宙世紀0083年の世界を舞台に幕を開ける。
人類の約半数が死滅した戦乱の傷痕は、地球各地にまだ生々しく残っている。
地球連邦軍は戦後の再編期にあり、戦時中のようなまとまった組織力を持っていない。
またジオン公国軍もその戦力の大半が戦線を離脱しており、残党軍のような勢力を形成している。
世界はまだ不安定であり、火種はくすぶっているという状況だ。
というわけで物語の背景を説明しておこう。
- 宇宙世紀0083年は戦後3年という微妙な時期
- ジオン残党勢力が地球上や宇宙に多く残っている状態
- ジオンの残党は火星付近へ逃げたアクシズ勢力のほかにもいた
- エギーユ・デラーズ率いるジオン残党軍はデラーズ・フリートを名乗る
- デラーズ・フリートは試作ガンダム2号機を強奪して「星の屑」作戦を発動する
ジオン残党を率いて「星の屑」作戦を敢行したエギーユ・デラーズ。
独自に艦隊を率いるシーマ・ガラハウ中佐。ハマーンに次ぐ「様」が似合う女性だ。
オリジナルである『機動戦士ガンダム』で描かれた一年戦争を下敷きにしながらも、続編となる『機動戦士Ζガンダム』の間の7年間を埋める役割を果たしている。
『Ζ』で唐突に登場したティターンズがなぜ結成されたのか、アクシズに逃げ延びたジオン残党はなぜ地球圏へと戻ったのか、そしてアナハイム・エレクトロニクス社はどうやって急成長を遂げたのか。
こういった富野作品では省略された世界観設定の説明をストーリーの中に程よく紛れ込ませながらも、青年たちの青春群像劇としてまとめあげた手腕は見事だ。
軍隊のエリート部隊を扱ったハリウッドの名作映画として『トップガン』があるが、その影響も多大に受けているようだ。
要するに戦闘あり、青春あり、人間ドラマありの三拍子そろった作品で、ガンダムという名前から受けるイメージそのまんまといった作風とも言えるだろう。
主人公は地球連邦軍の若いパイロット候補生のコウ・ウラキ。最初から軍属の主人公という珍しいパターンだが、冷静に考えれば至極当然のことでもある。
ストーリーは単純明快だ。
地球連邦軍の開発した試作ガンダム3機の内、1機には核兵器が搭載されていた。
それを知ったジオン残党軍がガンダムを奪取、連邦軍は南極条約違反が露見するのを恐れて極秘裏に追撃部隊を派遣する。
主人公はその事件に巻き込まれる形で参戦するが、試作ガンダム1号機のパイロットとして成長し、やがてジオン軍の歴戦の勇士であるアナベル・ガトーと対峙する。
実際、アニメ本編を観ればわかると思うが『0083』のストーリーにひねりはない。
人間関係にしてもやや強引なところがあるし、ライバルであるアナベル・ガトーも実直すぎてバカっぽく見えるシーンすらある。
ヒロインのはずのニナ・パープルトンに至っては歴代ヒロインでもっとも嫌われたキャラという不名誉な事実もある。
だが、それらストーリーの拙さを補って余りあるほど「アニメーションそのもの」にパワーがある。
それは作画のパワーであり声優のパワー、劇伴のパワーだ。
『トップガン』が単純明快すぎてツマラン話なのに、あれだけの大ヒット作となった理由とよく似ている。
ライバルとなるアナベル・ガトー。サムライのように実直な性格と言動でファンを魅了するが、最終回でまさかの過去が明らかに。しかしガトーよ、そこに手を出すか。
戦闘に次ぐ戦闘、ヒヨッ子だったパイロットが一人前の戦士へと成長する過程、そして最強のライバルとの決闘と、全13話の長丁場にもかかわらず観客を飽きさせない。
確かにオチはアレっというものではあるのだが、ガトーの生き様的にはあれで正解だったと思う。
デラーズ・フリートの武装蜂起によってティターンズが生まれ、それをよしとしない連邦軍内部の分裂によってエゥーゴとティターンズの対立が表面化していく。
まるで歴史の分岐点を見ているようで、ますます宇宙世紀の物語に引き込まれることだろう。
最終回あたりの作画ではコウ・ウラキの顔もご覧のとおり。物語冒頭の頃のあどけなさは消え、宿敵アナベル・ガトーとの戦いにのめり込んでいく。
この作品はできれば『機動戦士Ζガンダム』を観てから視聴することをオススメする。
物語の端々で、ああ、これはそういう意味だったのかと納得できるはずだ。
もちろん『0083』を先に見て、歴史上のつながりを知った上で『Ζガンダム』を観るのも良いだろう。
連続する歴史上のどのポイントから見始めるかは、永遠の課題だ。
『スター・ウォーズ』しかり『スタートレック』しかり、連続物には付き物だが、これに関してはティターンズという組織の在り様を知ってからの方がしっくりくると思う。