ハウンゼン365便がハイジャックされなければ、ケネスはハサウェイとマフティーを結びつけることはできなかった。

すべてはあの事件で見せた訓練された動きと殺気、そしてギギの一言のせいなのだ。

ハサウェイが自身のターゲットである政府高官の顔を直接見たいというワガママを言わなければ、マフティーとしての正体がバレることもなかっただろう。

Ξガンダム(クスィーガンダム)と一緒に地球に降下していればスムーズに拠点を移動できたはずだし、ダバオ市街を巻き込んだ戦闘もなかったかもしれない。

ケネスはもともと優秀な軍人であり、アナハイム・エレクトロニクス社に根回しをして最新鋭機のペーネロペーを配備するなど政治的手腕も併せ持つ指揮官である。

ハサウェイの経歴(実は薬物依存の履歴があるのだ)は調査しただろうし、それはギギについても同様だ。

地球連邦政府高官が終結するアデレード会議に合わせてマフティーが蠢動するのは、ケネスが着任する前から予想されていた。

ケネスの元にはマフティーの正体を示すヒントがいくつも集まっていたわけで、それがギギの何気ない一言でひとつにつながったということなのだろう。